きもの くらち

きものくらちの小牧店ブログ

お振袖

振袖は未婚女性の第一礼装・・・成人式や卒業式、結婚式のお呼ばれ、結納の席など様々な場面で着られています。

実は、振袖が未婚女性の着物となった背景には、昔の恋愛事情が関係しているんです!

日本には、女性から思いを伝えることが「はしたない」ことと思われていた時代に、女性たちは、言葉にはできない自分の思いを振袖に託しました。江戸時代初期の踊り子たちは着物の袖で、振ると「愛情を示す」、すがると「哀れみを請う」ということを表現していました。これを未婚女性たちが真似をし、大流行!!!

男性からのアプローチに対して、YESと答える時は「袖を左右」、NOと答える時は、「袖を前後」に振って意思表示をしました。

現代でも恋愛で使われている「振る」「振られる」という言葉の語源にもなっています。そして、明治以降に「振袖=未婚女性の第一礼装」という形が定着しました。

結婚した女性は、袖を振って思いを伝える必要がなくなります。振袖の袖を短く詰めて、夫ひとりに思いを留める「留袖」として着るようになりました。

女性にとって成人前の19歳は初めての厄払いの年になります。振袖には、「厄を払って幸せが訪れるように」という願いが込められています。ではなぜ、振袖で厄払いなのでしょうか?

まず、「振袖」という名前は、長い袖を振ることに由来しています。この袖を振るという行為には、実は、古来より呪術的な意味がありました。「魂振り(たまふり)」と呼ばれるもので、空気を揺らすことによって神様を呼び起こしたり、魂を奮い立たせたり、厄を払ったりすると考えられていました。神様に使える女性は長い布や袖を振っていました。例えば、神社で柏手を打ったり、鈴を鳴らしたりすることも「魂振り」です。

やがて、この「魂振り」という行為は、神様だけでなく、人に対しても行われるようになっていきました。例えば、出かける人に対して手を振る行為です。現代でも、「いってらっしゃい」「バイバイ」「気を付けて」と手を振って見送りますよね。これには、手や着物の袖を振ることで、厄払いや神様のご加護で安寧を祈願するという意味が込められています。

袖を振るという行為は、厄払い、神様の加護を祈る、意中の相手に思いを伝える意味があり、振袖にも「厄を払い、幸運が訪れるように」という願いが込められるようになりました。

振袖には、厄除けや神様の加護など、お嬢様の幸せを願う気持ちが込められており、これから大人となり、独り立ちしていくお嬢様が着るにふさわしい着物です。

なんとなく成人式だから振袖を着るのと、振袖にはこんなに素敵な意味が込められているという背景を知ってから着るのとでは、お嬢様もご家族様も感慨深く感じるのではないでしょうか。

当店では、お振袖の購入、レンタル、母振袖の小物合わせ、撮影、クリーニング、仕立て直し、着付け、ヘアーメイクなど、お着物に関わることでしたらなんなりとご相談いただけたらと思います。