きもの くらち

きものくらちの小牧店ブログ

紅花栄(べにばなさかう)

七十二侯では、本日までが紅花栄(べにばなさこう)。紅花が咲く時期とされていますが、実際には6月末から咲き始めます。

中学のころ、「おもひでぽろぽろ」というスタジオジブリ、高畑勲監督のアニメーションを見たのですが、紅花摘みやその歴史を知ることが出来たことが、私にとっては一番の魅力でした。いつか紅花を摘みに夏の山形に行きたい。その時からの夢なのです。

紅花は咲き始めは黄色いのですが、どんどん赤くなります。

茎の末端にある花を摘み取ることや、いくつもの花を咲かせ、最後の最後まで摘みとることができることからも、「末摘花」と万葉集にも描かれているようです。

アザミのようなとげがあるため、朝露が染み込んだ柔らかい状態の時、すなわち早朝に花びらだけを摘みとるのです。

花を発酵、乾燥させて作る染料「紅餅」は大変手間暇がかかることから、幕末には米の百倍。金の十倍という貴重さでした。

紅餅からつくられる口紅も高価だったため、ごく一部の裕福な人しか使用できなかったのです。何度も重ねつけすると、玉虫色に輝くのだそうです。

シルクロードを渡って日本にやってきたのは3世紀ごろ(古墳時代?)違う文献では飛鳥時代となっています。

万葉集に紅花が「末摘花」として書かれているのが奈良時代(759年)。

源氏物語に鼻が赤く不美人な女性が登場しますが、その名が「末摘花」(1008年)。

室町時代には紅花の名産、山形県に伝わり、江戸時代、幕末には全盛期を迎えていました。

江戸時代には紅花や、化学染料が輸入され、国内の生産が落ちてきましたが、山形県では、昭和40年には復興の動きがみられ、伝統文化を守る努力をされているようです。

古墳時代に伝わってきている紅花が日本に根付き、それが今でも染料として使われている紅花染の着物。

今日は山形県のよねざわ新田の米沢紬紅花染の紬をご紹介。

真綿を先に染めて、糸にすることで、微妙なグラデーションになり、織上がると、何とも言えない色合いに。二つとして同じ反物はできないのです。

こちらは黄色と水色が混ざった反物。黒地の半巾帯も紅花染めの裂き織りです。

紅花とその他の染料を重ね染めすることで、たとえようのない、百色の色相をただよわせることができるのです。

下記の色がその一部。紅花は黄色かピンクか赤だと思っていましたが、違うんですね。本当に凄い技です。

単衣で仕立てれば、6月、9月はもちろん、真夏以外、屋内にいるようであれば、年中着用できます。

早く、自分に似合う色の米沢紬の紅花染めの着物が一枚欲しい!!!

できたら、源氏香の末摘花を表すこの柄の帯や帯留なんかを合わせたらすごく素敵!!!妄想が広がります♪♬♩**