きもの くらち

きものくらちの小牧店ブログ

紅花栄(べにばなさこう)

七十二侯で紅花栄。が昨日より始まりました。

紅花が咲き始めるころ。という事ですが、本来は6月末ぐらいになるそうです。

先日、米沢紬の職人さんが来店され、紅花について色々とお話を聞いた事を少し書きますね。

紅花は江戸時代、金一匁、紅一匁。と言われるほど、高価な物でした。同じグラムで同じ価格と言う事です。染色や口紅にも使われていて、いまも販売されています。実際に口紅を使用させて頂きました。水で溶いて、刷毛で塗るのですが、少しの量で丁度よい赤色と角度で黄色く輝く唇になりました。そしてなんといっても、マスクに口紅が付かないんです。しかも、味もなく、べたつきもない。

そして、驚いたことを聞きました。食べ物と一緒に口紅を食べてしまう事はお化粧をした人ならご存知かと思いますが、紅花のお化粧は、食べても良しのお薬というのです。というのも血行促進、アンチエイジング、更年期障害の軽減、月経痛、月経異常の改善、便秘下痢の解消というものがあるそうです。ですので、口紅としてつけていることが昔は薬にもなったという事なんです。

浮世絵の女の人の唇は赤と緑に塗られています。というのも何度も紅花の口紅を塗り重ねると、玉虫色の緑色になるからなのです。高価な口紅を重ねてつけれることで冨のある象徴でもありますが、庶民には難しい為、墨を塗った上に赤を重ねて濃く見せるという事もあったようです。

 

赤は古代より「魔除け」の力があると考えられてきました。神社の鳥居に朱色が使われたり、60歳の還暦に「赤いちゃんちゃんこ」を送る風習は、魔除けや厄除けの意味が込められています。

赤ちゃんの赤は生命力を表す赤ともいわれます。赤の他人、真っ赤なウソ。という言葉のように、何もない。という事を赤という言葉で表すこともあり、純粋無垢=赤。赤ちゃんという意味合いもあるそうです。

そして、お振袖は赤い。というイメージを持たれている方がとても多いのですが、昔から赤い振袖を着ることは魔除け厄除けの意味もあったそうなので、今でも赤い振袖が一番多く販売されているように思いますし、着用される方も多いように思います。日本人の潜在意識の中に赤色こそが振袖の色。というのがあるのでしょうね。