きもの くらち

きものくらちの小牧店ブログ

紅花栄

5月26日から30日を七十二侯では、『紅花栄(べにばなさかう)』といいます。あたり一面に紅花が咲く頃で、紅花は古代エジプト時代から染料として利用されていました。花びらの水に溶ける黄色の色素と、水に溶けない赤の色素から、紅色がつくられます。

日本では山形県が紅花が有名な産地。今回は『紅花染よねざわ新田』の反物をご紹介します。

これは、蚕からとれた絹を、手で紡いで下記画像のように糸をまとめます。

上記画像の束ねた糸を染めて、横糸に使用して、下記のような反物になるのです。画像ではわかりにくいかもしれませんが、完全な一色ではなく、手で紡ぐことで、糸が若干太いところと、細いところで、色の染まり具合が違うため、紫に染めたとしても、一部、濃い紫に染まった部分が模様のように浮き上がります。

下記画像は、真綿の段階で色を染めたものと、手で紡いだものをまとめた糸です。黄色や、ピング、オレンジなど、糸も紡ぎ方によって、糸の束に色の変化があります。

下記画像は紫に若干、茶系が混ざった反物です。真綿から染めることで、反物が同系色ではない色の変化の面白さがあります。

どちらの反物も、手で紡ぐため、反物として同じような色合いがあったとしても、手で紡いだ糸に染めた染料の具合によって、全くおなじものは出来ないのです。単衣で仕立てて、真夏以外なら着用できます。

紅花染よねざわ紬は、派手さはないですが、繭と紅花に人の手を加え、素敵な色と光沢が美しく、近くで見れば見るほど繊細な色で構成された素晴らしい反物です。