きもの くらち

きものくらちの小牧店ブログ

夏の帯(本大麻布)

先日、二十四節季では、立夏を迎えましたね。

夏の始まりで、一年で一番過ごしやすい時期と言われています。

昨日は25度までも上がり、夏日を記録しています。5月で、まだ合わせを着ているのですが、真夏日には、夏の帯を見るだけでも涼やかな気持ちになりますね。

今回は新しく入荷しました、本大麻布の和染のアザミ柄の夏帯をご紹介いたします。

 

花名のアザミは、花を折ろうとするとトゲが刺さって驚くことから、「驚きあきれる」を意味する古語「あざむ」が語源になったともいわれます。
アザミはキク科アザミ属で原産地は日本です。(アザミ属の植物は世界に250種以上)
ですので、和名はJapanese thistle。 日本では古くから馴染みのある花であったにも関わらず、薊をモチーフとしたものは少なく、意匠のモチーフとしてはじめて用いられたのも江戸時代の頃です。
当時つくられた陶器や小袖には、薊が配されたものがいくつか見られます。それでも、秋草や牡丹や梅に比べて、その数は少なかったようです。

とくに、19 世紀に西洋で流行したボタニカルアート(植物学的な絵)の中には、アザミがモチーフとなった絵が多く描かれました。ボタニカルアートのモチーフは、野性的な野の花が多いのですが、個性的なその姿はその中でも魅力的に見えたのでしょう。

日本でこのボタニカルアートが広まったのは明治時代の頃です。当時、西洋からもさまざまなボタニカルアートが輸入され、日本でも人気となり、その中には、薊の絵が多くあったのでしょう。
大正時代につくられた着物の意匠には、薊をモチーフとしたモダンな柄行きのものが多く見受けられます。

 

とっても素敵なアザミの帯を今回は帯1本に着物3着でコーディネイトしてみました。小物を一切変えずに着物だけ変えてみましたが、意外にも着回ししやすいことに驚きです。

①新潟県 小千谷ちぢみ ベージュの麻着物に合わせて、爽やかに。

②愛知県 有松絞りの浴衣に合わせて、柄ON柄ですが、素敵です。
③京都の藤井絞りの板締め絞りに合わせて、シックです。
これで、帯揚げ、帯締め、帯留を変えると更に着回しが増えますね。
夏に着物は、暑い暑いと言いますが、冬でも着物を着ると、おなかに汗をかいています。着物を着ることで、おなか周りのダイエットにもなりますし、腕も日常では使わない後ろに手を回すことで、四十肩、五十肩の予防にもなると、勝手に思っていて、良いことも多いんです。
そして、夏の着物は、露出は少なくても、「涼し気ね。」と周りからも言われたり、感じてもらえることが良いところだとも思います。
夏も敬遠せず、着物を楽しんでほしいです。